男装聖女は冷徹騎士団長に溺愛される

男装聖女と魔女の家 1


 彼女をこんなに間近で見るのは初めてだが、その金髪とこちらを見下ろす綺麗な青い瞳を見て昔施設にあった人形を思い出す。
 そんな作り物のように美しい彼女だが、今の私にとっては“敵”に他ならない。

「……っ!」

 急いで起き上がり、そこで私は自分がベッドに寝かされていることに気がついた。
 しかもご丁寧に毛布まで掛けられていて驚く。

(なに、どういうこと? ここは……?)

 その部屋は多くの植物に囲まれ、色んなハーブが混ざった……あのサシェのような香りがした。
 ベッド横の窓の外は暗く、まだ夜なのだとわかった。
 部屋の数ヶ所に置かれた蝋燭の灯りでフェリーツィアと先ほどの青年の顔がオレンジ色に揺らめいている。
 状況はよくわからないが、彼女たちを睨みつつ私は今一番気になっていることを訊いた。

「みんなはどこだ」
< 276 / 280 >

この作品をシェア

pagetop