ラストランデヴー
 彼は胸の突起を口に含み、舌で軽く転がすようにしたかと思うと、突然歯を立てた。電流のような痺れが身体を走り、腰のあたりが疼く。

 それを察して彼の指が太腿の間を割って入り込み、奥へと進む。

 先ほどの荒い動作からは想像もできないほどの優しい指づかいで敏感な部分を撫でた。弱いところを刺激され、たまらず甘い吐息をこぼしてしまう。

「晴樹……」

 助けを求めて彼に手を伸ばすと、彼はそれをするりと抜けて足元へ移動した。

 次の瞬間、優しい指の動きがざらっとした感触にすり替わる。

「やぁ……っ!」

「嫌じゃないくせに」

 意地悪な声が聞こえてきた。

 言い返したいけれども、考えることすら難しい。少しの余裕もない私を、足元にいる彼が遠くから観察しているように見えた。

 それでも彼の呼吸が次第に荒くなるのがわかると、なぜだかとても嬉しかった。

「もう我慢できない」

 準備が整うと、彼は私の顔を真上から覗き込んだ。

「みどり……」

 彼の大きな手が私の片頬を柔らかく包む。

 急に胸の中がいっぱいになった。

 これが最後なのだ。見上げていた彼の顔がぼやける。

 そしてついに私の秘められた熱い部分へ逞しいものが突き立てられた。同時に痺れるような強烈な刺激が私を貫く。

「ごめん、痛い?」

 こみ上げてきた涙を彼は苦しそうな表情で見つめている。

 私が首を横に振ると、彼はためらわずに奥へと突き進んだ。最奥まで埋め尽くされると、その存在感に圧倒され、ますます感情が昂った。

 切羽詰まった表情の彼が動く。置いていかれないように彼の肩につかまると、大きな衝撃が全身を襲った。


 その瞬間、目尻からぽろっと涙がこぼれ落ちる。


 彼のものが私の最奥に達するたびに、ぽろり、ぽろりと溢れ出る涙のしずくを、彼は悩ましい表情で見下ろしていた。

 次第に激しくなるふたりの濃密な遊戯はやがて最高潮へ達する。

 最後に彼は私の頭を抱き、私の中で弾けると同時に、目尻から流れる涙に優しく唇を寄せた。
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