if
それまで
「if」
 
 それまで、私は運命というものを信じてこなかった。
 やがて結ばれる人と出逢ったり、想いもよらない出来事に巻き込まれたり。そういったことに一喜一憂する人もいるけれど、私は違う。すべては原因と結果の産物にすぎない。星座や血液型の占いも、見ることはあるけれど、生活を潤すためのささやかな娯楽くらいにしか考えてなかった。
 だから、今日まで自分の身に起きたことも、運命などではないと想う。
 私が以前の職場を辞めたこと。一枚のパンフレットに導かれて、この【ミライ創造研究所】へ再就職したこと。初日に迷子になってしまい、たどり着いた先がニュータイプAI研究室だったこと。そこで、ひとりのAIの男の子-―アルトと出逢ったこと。そして……。
 あのかなしい結末も、その先に訪れた「再会」も、決して運命などという言葉で片づけるつもりはない。私が、アルトが、選んだ道だからだ。
 これは、私の秘密の話。
 北斗さんはもちろん、四人のアルトたちさえ知らない、秘密の話だ。
 
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