欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~

もう、部長じゃなくても

家に着き、先にシャワーを浴びた陸が戻ってきたとき――

彼の表情は、もう“部下”ではなかった。

あれは、まぎれもなく“オス”の顔だった。

今から私を、ひとりの女として抱こうとする男の顔。

「何もかも、俺に任せて。」

そう言って微笑むその顔に、心臓が跳ねた。

そんなセリフ、本当に言う人がいるなんて……恥ずかしさと期待がないまぜになって、頬が熱を持つ。

でも、逃げる隙間はなかった。

気づけば、私たちは肌を重ね、すべてを脱ぎ捨てていた。

「俺、途中でやめないから。」

その囁きの直後、陸の腰が激しく動き始める。

吐息が混ざり合い、深く、奥まで突き上げてくる彼の熱。

ベッドが軋み、快感の波が何度も押し寄せてくる。

こんなふうに、欲しがられるなんて――

私はもう、完全に彼に飲み込まれていた。
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