欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~

再会と誘い

数日後、あの雨の日に出会った男性――高瀬さんからLINEが届いた。

「この前は、ありがとうございます。」

丁寧なお礼の言葉に、思わず画面を見つめたまま微笑んでしまう。

ほんの数分、雨宿りで隣に立っただけ。

お礼を言われるようなことはしていないのに、律儀な人だと思った。

「お礼に、食事に誘いたいのですが、いかがですか。」

その一文に、胸の奥がふわりと浮き上がる。

会いたい――そう思っていたのは、私だけじゃなかったんだ。

あの日の濡れたシャツ越しの肌、優しい声、笑った目元が、頭の中に蘇る。

「いいですよ。喜んで。」

迷うふりなんてできなかった。

すぐに返信を送り、画面を閉じてから、私はソファに顔を埋めて小さく笑った。

高瀬さんと、また会える。

そのことが、こんなにも嬉しいなんて――私、少しおかしいのかもしれない。
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