欲望のシーツに沈む夜～50のベッドの記憶～

3日後。待ち合わせ場所から連れてこられたのは、ガラス張りの静かなレストランだった。

雨宿りを一緒にしただけで、こんなに洒落た店に来るなんて思っていなかった私は、少し戸惑いながら席に着いた。

「……いつもこういう場所、来るんですか？」

緊張して尋ねると、高瀬さんは笑った。

「ううん。検索で“ここが美味しい”って出たから。」

その答えが妙に可愛くて、私は肩の力が抜けるのを感じた。

料理はどれも美味しくて、会話も自然と弾んだ。

笑顔で話す高瀬さんの横顔を見ているだけで、心がじんわりと温かくなる。

「うん、今日来てよかったです」

素直にそう言うと、彼はまっすぐに私を見つめて言った。

「俺、会いたかったです。橘さんに。」

胸がきゅっとなる。

「……私もです。」

言葉にしてしまうと、想いがどこかへ溢れていく気がした。