欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~

ベッドの隅で

ベッドに横たわっても、目は冴えるばかりだった。

きっと蓮の匂いに包まれているせい。

どこか落ち着かなくて、胸がそわそわする。

「……美桜?」

声がして振り向くと、部屋の明かりの中に蓮の影が揺れていた。

「……眠れないの。」

素直にそう言うと、蓮がベッドの近くまで来てくれる。

その存在が嬉しくて、私はそっと手を伸ばしていた。

「一緒にいて……」

私の指が蓮の服の裾を掴むと、彼はしばらく黙ったあと、小さく息を吐いてベッドに入ってきた。

「美桜、そんなこと言うと……」

蓮の声が少しだけ低くなっている。

「……うん。」

それだけ返すと、ふたりの間の空気がゆっくり熱を帯びていく。

顔が近づき、唇が……ふれて、重なる。

——ずっと欲しかったぬくもりが、そこにあった。
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