欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~

夜が明けて

翌朝、私はまだうつらうつらとまどろんでいた。

まぶたの奥がほんのりと温かくて、頬には誰かの体温。

目を開けると、すぐ隣に蓮の顔があった。

「おはよう、美桜。」

優しく微笑む彼の声が、胸にじんと響く。――そうだ、昨夜、私はこの人に抱かれたんだ。

その事実が一気に目を覚まさせる。

だけど恥ずかしくて、蓮の顔が見られない。

「……おはよう。」

か細く返すと、蓮はふわりと微笑んで、私の頬にキスを落とした。

くすぐったくて、心がくすぐられて、私はふわっと笑ってしまう。

「今日さ、どこか遊びに行こうか。」

「うん!」

思わず即答してしまった。蓮とデート。

そんな言葉が頭に浮かぶなんて、昨日までは考えられなかった。

ベッドから起き上がろうとして、自分の姿に気づく。

――あっ、裸……。

慌ててシーツを引き寄せた私を見て、蓮がくすくす笑っていた。

朝の光に包まれたその笑顔は、眩しくて優しくて、あたたかくて――私の心を、さらにときめかせた。

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