欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
私たちは、近くのショッピングモールに来ていた。

人の波に揺られながら、ふたりで歩くのがなんだか新鮮で、くすぐったい。

「お昼、何食べようか?」

「軽めでいいかな……」

「美桜は、うどん好きだよな?」

「え、なんでわかるの?」

驚いて顔を上げると、蓮は照れもせずに言った。

「ずっと好きだったから。おまえのこと、何でも知ってるつもり。」

その言葉に胸がキュッと締めつけられる。

変わらない幼馴染のはずなのに、もう、ただの“友達”じゃいられない。

並んで頼んだうどんの会計。財布を出そうとした私より先に、蓮が支払っていた。

「ちょ、待ってよ。割り勘で――」

「いいよ。彼女だから。」

その一言が、胸の奥にじんわりと染みこんでくる。

私は、この人の隣にいていいんだ。

ずっと、蓮の隣に――。
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