欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
店を出ると、空からぽつ、ぽつと冷たい滴が落ちてきた。
「……あ、雨」
見上げると、さっきまで星が見えていた空が、灰色に染まり始めていた。
「折り畳み傘、持ってきて……」
私はバッグに手を入れたが、指先に傘の感触はない。
あれ?今朝、入れたはずなのに――。
「傘、ないです。」
困ってそう言うと、高瀬さんが静かに微笑んだ。
「じゃあ、タクシー捕まえましょうか。」
そう言ってくれた彼と並んで、タクシー乗り場まで歩く。
けれど、距離は意外とあって、その間に雨はどんどん強まっていった。
気づけば、シャツの袖も髪も濡れてしまっている。
そして、ふたりの前にふいに現れたのは、小さなビジネスホテルの明かりだった。
「……入りませんか?」
高瀬さんの低い声が、雨音にまぎれて私の耳に届く。
私は、一瞬だけ彼の目を見つめた。
嘘はなかった。ただ、優しい熱が宿っていた。
「……うん」
頷いた私は、彼と並んで、ホテルの自動ドアをくぐった。
この雨の夜が、忘れられないものになる予感がした――。
「……あ、雨」
見上げると、さっきまで星が見えていた空が、灰色に染まり始めていた。
「折り畳み傘、持ってきて……」
私はバッグに手を入れたが、指先に傘の感触はない。
あれ?今朝、入れたはずなのに――。
「傘、ないです。」
困ってそう言うと、高瀬さんが静かに微笑んだ。
「じゃあ、タクシー捕まえましょうか。」
そう言ってくれた彼と並んで、タクシー乗り場まで歩く。
けれど、距離は意外とあって、その間に雨はどんどん強まっていった。
気づけば、シャツの袖も髪も濡れてしまっている。
そして、ふたりの前にふいに現れたのは、小さなビジネスホテルの明かりだった。
「……入りませんか?」
高瀬さんの低い声が、雨音にまぎれて私の耳に届く。
私は、一瞬だけ彼の目を見つめた。
嘘はなかった。ただ、優しい熱が宿っていた。
「……うん」
頷いた私は、彼と並んで、ホテルの自動ドアをくぐった。
この雨の夜が、忘れられないものになる予感がした――。