欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
週末、私たちは再び温泉へと向かった。今度は「恋人同士」としての旅行だ。

「ごめん、今回は貸し切りじゃないんだよね。」

冬馬は少し照れたように笑いながら、混浴の露天風呂を指した。

「いいよ。貸し切りじゃなくても、私はもう冬馬のものだから。」

そう言った私に、冬馬はふっと目を細めて、優しく唇を重ねてきた。

混じり合う吐息。絡み合う指先。

初めて出会ったあの日とは違う、確かなぬくもりがそこにあった。

「紗月、一目惚れって信じる?」

「うん。冬馬が言うなら、信じる。」

「俺も、あの日、紗月に一目惚れしたんだ。」

湯けむりの中、真剣な眼差しがまっすぐに私を射抜く。

私はただ静かに、彼の胸に寄り添った。

心も体も、もう隠すものなんてなかった。

それは、過去の恋では得られなかった“確かな愛”だった。

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