欲望のシーツに沈む夜~50のベッドの記憶~
7、教室で目が合ったその日から

再会と戸惑い

教壇の前に立ったその瞬間、私は目を疑った。

「本日、進路講演会に来てくださったのは――本校の卒業生で、現在は商社にお勤めの高城悠人さんです」

マイクを持った彼が、穏やかに会釈する。

大人びたスーツ姿、端正な顔立ち、堂々とした立ち居振る舞い――でも、私は一目で気づいた。

「……高城くん?」

彼がふと視線を上げ、私と目が合う。

「先生、俺のこと……覚えてます?」

声が低く響いた。あの頃のあどけなさはもうなかった。

けれど確かに、かつて私のクラスで騒がしくも優しい笑顔を見せていた少年――高城悠人だ。

「もちろん。よく覚えてるわよ。」

「嬉しいな。」

そう言った彼は、少年だった頃の面影を残しつつも、すっかり大人の男の顔をしていた。

まっすぐに私を見つめるその瞳に、胸が少しだけざわついた。
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