私の中にあるモノ
今夜…。…今夜、脱走計画を実行する。

そんな急に…。

「…ごめんなさい。本当は、もっとちゃと考える時間をあげたかったんだけど」

芦田さんが、申し訳なさそうに言った。

「私達も…もう時間がないの。特に…ムダナちゃんは…」

「…」

私は、芦田さんと手を繋いでいるムダナちゃんを見下ろした。

彼女は今にも泣き出しそうなのを、必死に堪えていた。

芦田さんの手をぎゅっと繋ぎ、それがまるで命の糸であるかのように、しっかりと握り締めていた。

彼女の寿命は…残り時間は、もう一刻を争う状態なのだ。

「本当は、この計画はもっと先に…早くても、もう半月先の機会にするつもりだった」

と、武藤くんは言った。

「他にも、もっと仲間を増やして…。そうすれば、成功率ももっと高くなるだろうから…」

「…」

「…だけど、もう悠長なことは言ってられない。立葉にはもう時間がない。…だから、今日やるんだ」

「…そう…」

戻る道はないってことね。

…お互いに。

「…頼めないか。皆宮」

「…私は…」

武藤くん達の言っていることは、よく分かる。

私だって、外の世界を見てみたい。

シンクロ率…残り時間…訓練…。そんなことを考えずに済む場所に行きたい。

どうせ、長くてもあと4、5年で死んでしまうなら…。

私だって…自由に…。

自由に、あの空を…。

…。

それでも。

「…ごめんなさい。私は行けない」

武藤くん達に、ついていくことは出来なかった。
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