私の中にあるモノ
…翌日。

朝一番に、私は3階を訪れた。

…3階…病棟フロア。

武藤くんの話によると、ここは『老人ホーム』と揶揄されているらしい。

私達竜人の成功検体の寿命が迫り、立って歩くことも出来なくなって…。

最期の最期に、このフロアに送られ。

ホスピスみたいに、ベッドの上に横になって、ただ死の時を待つ…。

私もいずれは、この場所に送り込まれるのだろう。

その時のことを思うと、強い不安と恐怖に襲われた。

病棟フロアにやって来た私は、目的の人物がいる病室を探して、うろうろと歩き回った。

すると。

「…あの…」

「…あら?皆宮さん、どうしたの?」

病棟フロアの職員…多分看護師なのだろう。

ナース服を着た職員が、丁度、部屋から出てきたところに鉢合わせた。

「どうしてここに?何処か体調でも悪いの?」

何の悪気もない、ただの質問に過ぎなかったのだろう。

それでも、その質問はまるで、

「あなたも寿命が近づいてるの?」と聞かれたような気がして。

思わず、背筋がゾクッとしてしまった。

「…違います」

「そうなの?…じゃあ、どうしてここに…」

「あの…。聞きたいことがあるんですけど」

「なぁに?」

私は、その人物の名前を尋ねた。

彼女は何処にいるのか、と。

その名前を聞いて看護師は一瞬、後ろめたそうな顔をして。

それから、私にその病室を案内してくれた。







「…近江さん」

「…」

病室の扉を開けて、私はその名前を呼んだ。

近江ムライカ。

寿命が差し迫った、一人の竜人の少女である。
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