私の中にあるモノ
今のあれは、一体何なの?
あの写真は、いつ撮られたもの?
そして、写真に写っていた女性は…あの人は何者なの?
間違いなく、今はもう生きていないことは確かだ。
白黒写真だったのに、まるでこの目で見た光景のように。
生々しく、脳裏に焼き付いて離れない。
…私。
私…何処かで、あの光景を見たことがある…?
…まさか。そんな馬鹿な。
私は記憶を失ってるし、あの写真は間違いなく…私が生まれる前に撮られたもののはずだ。
私が実際に目にしたなんて、有り得ない。
だとしたら…記憶を失う前の私、だろうか?
私は記憶を失う前に、あの本の、あの写真を見て…。
それが凄く衝撃的だったから、記憶を失っても、何となく覚えていた…。…とか。
…それ以外に考えられない。
「…ムリカお姉ちゃん?どうしたの?」
突然黙ってしまった私に、ムメイちゃんが不思議そうに話しかけた。
駄目だ。考えるのは後にしないと。
ムメイちゃんを心配させてしまう。
「う…ううん、何でもないの。ちょっと…。…記憶を失う前の自分のことを考えてて…」
「記憶を失う前の…ムリカお姉ちゃん?」
「うん…。ムメイちゃんは知ってるんだよね?私…昔はどんな子だった?」
こんな小さな子に、自分のことを聞くなんてね。
馬鹿みたいだけど、ムメイちゃんは、記憶喪失の私よりも、私のことに詳しい。
「ムリカお姉ちゃんはね、凄く優しかったよ」
ムメイちゃんは、嬉しそうに教えてくれた。
優しかった?…私が?
「本当に?」
「うん。いつも色んなお話、してくれたの」
「…そうなんだ…」
…何だか、全然そんなイメージ、湧かない。
私が優しかった、なんて…。…優しいのは、そんな風に言ってくれるムメイちゃんでしょう。
「色んなお話の中でも、私、ムリカお姉ちゃんの『内緒のお話』が好きだったよ」
うきうきと、楽しそうに教えてくれるムメイちゃん。
「…『内緒のお話』?」
「うん。…覚えてない?」
「…ごめん」
何だろう?内緒のお話って。
自分の秘密について話してたの?
「誰にも内緒ね、しー、だからね。って…こっそり秘密のお話をしてくれたの」
「そうなんだ…」
この年頃の小さい女の子って、「内緒話」、好きだもんね。
別に、大して内緒にするようなことじゃないお話でも。
大袈裟に「内緒話だよ」って前置きして、わざと声をひそめて、こそこそと秘密のお話を共有する。
そうすることで、絆を深めていく。
…まさにムメイちゃんは、今、そのお年頃なのだ。
多分記憶を失う前の私も、ムメイちゃんと遊んであげるようなつもりで。
大したことじゃなくても、「内緒だよ」って言って、ムメイちゃんに内緒話をしてあげてたのかも。
成程。…それなら納得が行く。
記憶を失う前の私…確かに優しいね。
今の私とは、まるで別人みたいだ。
あの写真は、いつ撮られたもの?
そして、写真に写っていた女性は…あの人は何者なの?
間違いなく、今はもう生きていないことは確かだ。
白黒写真だったのに、まるでこの目で見た光景のように。
生々しく、脳裏に焼き付いて離れない。
…私。
私…何処かで、あの光景を見たことがある…?
…まさか。そんな馬鹿な。
私は記憶を失ってるし、あの写真は間違いなく…私が生まれる前に撮られたもののはずだ。
私が実際に目にしたなんて、有り得ない。
だとしたら…記憶を失う前の私、だろうか?
私は記憶を失う前に、あの本の、あの写真を見て…。
それが凄く衝撃的だったから、記憶を失っても、何となく覚えていた…。…とか。
…それ以外に考えられない。
「…ムリカお姉ちゃん?どうしたの?」
突然黙ってしまった私に、ムメイちゃんが不思議そうに話しかけた。
駄目だ。考えるのは後にしないと。
ムメイちゃんを心配させてしまう。
「う…ううん、何でもないの。ちょっと…。…記憶を失う前の自分のことを考えてて…」
「記憶を失う前の…ムリカお姉ちゃん?」
「うん…。ムメイちゃんは知ってるんだよね?私…昔はどんな子だった?」
こんな小さな子に、自分のことを聞くなんてね。
馬鹿みたいだけど、ムメイちゃんは、記憶喪失の私よりも、私のことに詳しい。
「ムリカお姉ちゃんはね、凄く優しかったよ」
ムメイちゃんは、嬉しそうに教えてくれた。
優しかった?…私が?
「本当に?」
「うん。いつも色んなお話、してくれたの」
「…そうなんだ…」
…何だか、全然そんなイメージ、湧かない。
私が優しかった、なんて…。…優しいのは、そんな風に言ってくれるムメイちゃんでしょう。
「色んなお話の中でも、私、ムリカお姉ちゃんの『内緒のお話』が好きだったよ」
うきうきと、楽しそうに教えてくれるムメイちゃん。
「…『内緒のお話』?」
「うん。…覚えてない?」
「…ごめん」
何だろう?内緒のお話って。
自分の秘密について話してたの?
「誰にも内緒ね、しー、だからね。って…こっそり秘密のお話をしてくれたの」
「そうなんだ…」
この年頃の小さい女の子って、「内緒話」、好きだもんね。
別に、大して内緒にするようなことじゃないお話でも。
大袈裟に「内緒話だよ」って前置きして、わざと声をひそめて、こそこそと秘密のお話を共有する。
そうすることで、絆を深めていく。
…まさにムメイちゃんは、今、そのお年頃なのだ。
多分記憶を失う前の私も、ムメイちゃんと遊んであげるようなつもりで。
大したことじゃなくても、「内緒だよ」って言って、ムメイちゃんに内緒話をしてあげてたのかも。
成程。…それなら納得が行く。
記憶を失う前の私…確かに優しいね。
今の私とは、まるで別人みたいだ。