私の中にあるモノ
「私が一番好きだったのはね、6階の内緒のお話」
ムメイちゃんは、そう教えてくれた。
…。…6階?
当然、私は覚えていなかった。
「6階…。内緒の話?」
「うん。たまーに、たまーにね、私が『お願い』って言ったら、ムリカお姉ちゃん、こっそりお話してくれたんだよ」
「…」
別に…隠さなくても、気軽に話してあげれば良いのに。
6階の内緒話なんて…別に、何も。
…。
「…それって、どんなお話だったの?」
記憶を失う前の私は…一体、何を知っていたの?
「ムリカお姉ちゃん、それも覚えてないの…?」
「うん…。ごめんね、だから…こっそり教えてくれないかな」
「それって、内緒のお話?」
「…うん。内緒のお話」
そう答えると、ムメイちゃんは、ぱっと顔を輝かせた。
久し振りに、私と「内緒のお話」が出来る。
しかも今度は、私からムメイちゃんへ、じゃなくて。
ムメイちゃんから私へ、内緒話をするのだ。
得意げな表情になったムメイちゃんは、大袈裟なまでに声をひそめ、
「あのね…。これは内緒のお話だからね。誰にも言っちゃ駄目だよ。しー、だよ?」
かつて、記憶を失う前の私がそうしていたであろうように、前置きをして。
「うん、分かった。しー、ね」
「えっとね…。実はね、6階にはね、竜が住んでるの」
「…!?」
ムメイちゃんの言葉に、私は目を見開いた。
…どういうこと?
「どうして…?だって、竜族はとっくの昔に滅びたって…」
「そうだよ。だけど、一番古い竜…?っていうのが、まだ生きてるんだって。その生き残った竜を、この建物の6階で、こっそり飼ってるんだって」
「…」
「私やムリカお姉ちゃんみたいなりゅーじんが生まれたのは、その竜のお陰なんだって」
ムメイちゃんは得意げに、胸を張って教えてくれた。
…それ、本当に私が言ったの?
記憶を失う前の私は、どうしてそんなことを知っていたの?
ムメイちゃんを驚かせる為の作り話?
まさか…。そんなタチの悪い作り話…。私がするとは思えない。
じゃあ、他の誰かから聞いたんだろうか。
でも…一体誰から?
…いや、誰から聞いたか、なんてどうでも良い。
その話って、本当なの?
「昔の私は…どうして、そんなことを知ってたんだろう…?私…他に何か言ってた?」
「え?…んーと…。でも、ムリカお姉ちゃんは『本当のことだ』って言ってたよ?」
「…」
昔の私は、どうして確信を持ってそんなことを、
「『だって、自分の目で見たんだから』って…」
ムメイちゃんの、その言葉で。
私は、記憶を失う前の私がしていた『内緒話』を思い出した。
ムメイちゃんは、そう教えてくれた。
…。…6階?
当然、私は覚えていなかった。
「6階…。内緒の話?」
「うん。たまーに、たまーにね、私が『お願い』って言ったら、ムリカお姉ちゃん、こっそりお話してくれたんだよ」
「…」
別に…隠さなくても、気軽に話してあげれば良いのに。
6階の内緒話なんて…別に、何も。
…。
「…それって、どんなお話だったの?」
記憶を失う前の私は…一体、何を知っていたの?
「ムリカお姉ちゃん、それも覚えてないの…?」
「うん…。ごめんね、だから…こっそり教えてくれないかな」
「それって、内緒のお話?」
「…うん。内緒のお話」
そう答えると、ムメイちゃんは、ぱっと顔を輝かせた。
久し振りに、私と「内緒のお話」が出来る。
しかも今度は、私からムメイちゃんへ、じゃなくて。
ムメイちゃんから私へ、内緒話をするのだ。
得意げな表情になったムメイちゃんは、大袈裟なまでに声をひそめ、
「あのね…。これは内緒のお話だからね。誰にも言っちゃ駄目だよ。しー、だよ?」
かつて、記憶を失う前の私がそうしていたであろうように、前置きをして。
「うん、分かった。しー、ね」
「えっとね…。実はね、6階にはね、竜が住んでるの」
「…!?」
ムメイちゃんの言葉に、私は目を見開いた。
…どういうこと?
「どうして…?だって、竜族はとっくの昔に滅びたって…」
「そうだよ。だけど、一番古い竜…?っていうのが、まだ生きてるんだって。その生き残った竜を、この建物の6階で、こっそり飼ってるんだって」
「…」
「私やムリカお姉ちゃんみたいなりゅーじんが生まれたのは、その竜のお陰なんだって」
ムメイちゃんは得意げに、胸を張って教えてくれた。
…それ、本当に私が言ったの?
記憶を失う前の私は、どうしてそんなことを知っていたの?
ムメイちゃんを驚かせる為の作り話?
まさか…。そんなタチの悪い作り話…。私がするとは思えない。
じゃあ、他の誰かから聞いたんだろうか。
でも…一体誰から?
…いや、誰から聞いたか、なんてどうでも良い。
その話って、本当なの?
「昔の私は…どうして、そんなことを知ってたんだろう…?私…他に何か言ってた?」
「え?…んーと…。でも、ムリカお姉ちゃんは『本当のことだ』って言ってたよ?」
「…」
昔の私は、どうして確信を持ってそんなことを、
「『だって、自分の目で見たんだから』って…」
ムメイちゃんの、その言葉で。
私は、記憶を失う前の私がしていた『内緒話』を思い出した。