聖女の愛した花園

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 さゆりお姉さまと初めてお会いした時の衝撃は今でも忘れることはできない。私の中等部の入学式、在校生代表で祝辞の言葉を述べられたのがさゆりお姉さまだった。凛と咲く一輪の百合の花のような美しさ、神秘的な雰囲気に一目で虜になってしまった。きっと一年生の誰もがお姉さまに見惚れていたと思う。

 私は正直リリスへの入学は不本意だった。だが祖母も母もリリスの卒業生でリリスの制服を着た私が見たいと言われ、仕方なく受験したら受かってしまった。別にクリスチャンでもないのに古臭い女子校に通うなんて……という憂鬱な気持ちはさゆりお姉さまと出会った瞬間に消し飛んだ。

 お姉さまと同じ白百合寮に組み分けされて叫んでしまいそうになるくらい喜んだ。どうにかしてお近づきになりたいと思っていたけれど、お姉さまは遠い人。弓道部に入ろうと思ったけど、残念ながら私には才能がなかった。体験入部の時点で的に当てるどころか、まともに弓を射ることさえ無理だと落胆する。もちろん練習すればマシになったかもしれないけど、あまりに不出来な姿を憧れの人に晒すのは許せなくて。結局入部は諦めた。

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