聖女の愛した花園

「さゆりさま、ご機嫌よう」
「ご機嫌よう」

 挨拶をすれば女神の微笑みで返してくださる。だけどそれは私一人ではない。さゆりお姉さまは慈愛に満ちた聖女のような方だから誰に対しても平等に優しく接してくださる。多くの花々を愛でるのと同じように。

 でも、それでは満足できない。私はたくさんの花々ではなく、さゆりさまにとっての一輪の花になりたい。特別な存在になりたいのだ。

 そう思っていた時にシスター制度の存在を知り、これだ! と思った。さゆりさまの妹になりたい。そう思った私は大胆にも直接お願いしに行った。

「私のことを妹にしてください」

 突然の申し出に驚いていたが、さゆりさまはすぐに微笑む。

「ごめんなさい、私は妹はつくらないと決めているの」
「どうしてですか?」
「私はきっと求められるものを与えられる姉にはなれないと思うから」

 さゆりさまの仰る意味はよく理解できなかった。

「申し出は嬉しかったわ、ありがとう」

 だけどこのままでは引き下がれない。仰る意味はわからないけれど、「私」がダメというわけではないのならまだチャンスはあるはずだと思った。


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