聖女の愛した花園
「では、高等部でさゆりさまがもし寮長になることがありましたら、その時は私を妹にしてください」
流石のさゆりさまも面食らったように私を見つめる。
「寮長は後継者を選ぶため必ず妹を選びますでしょう? もしさゆりさまが寮長になられたら妹選びは避けて通れません。その時再度申し込みに参ります」
「あなた、面白いことを仰るのね」
クスリ、と微笑む姿も気品に溢れていた。
「私が寮長になるかどうかもわからないのに?」
「なれます。さゆりさまならきっとなれますわ」
「わかりました。もしそのような機会があればそうしましょう」
「! はいっ! それまで研鑽を積みます」
「あなた、お名前は?」
「雛森透と申します」
「透さんね。楽しみにしているわ」
それから私は勉強も運動もなんでも努力した。礼儀作法やダンス、音楽まで立派な淑女になれるように努めた。いつかを夢見て研鑽を重ね続けた。
高等部に上がったさゆりさまは、一年生で異例の寮長の妹に選ばれた。二年生にして白百合寮長となったさゆりさまは、私の元に訪ねてきてくださった。
「約束通り、私の妹になってくださる?」
自分から申し込もうと思っていただけにさゆりさまの方から誘っていただけるなんて思わなくて、嬉しくて嬉しくて泣きそうだった。
「はい、喜んで」
「よろしくね、透」
「よろしくお願いします――さゆりお姉さま」
この日は間違いなく今まで生きてきた中で特別な日となった。