聖女の愛した花園

断章【聖女の愛した花園】


 祖父は言った。「白雪は遡ると皇族の血筋と繋がる。由緒正しい一族として誇りを持て」

 祖母は言った。「さゆりさん、あなたは生まれながらにして特別な存在なのです。白雪家の名に恥じることのない淑女におなりなさい」

 父は言った。「いついかなる時も完璧でいろ。他人に弱味は見せるな、常に堂々としてこそ白雪の人間だ」

 母は言った。「女は愛されることこそすべて。美しさこそ女の価値よ」

 幼少期から私に求められたのは、白雪に相応しい人間であり女性となること。私は子どもながらに家族の期待に応えようと頑張った。お勉強もお稽古も本当は退屈だったけれど、お父様とお母様に褒めてもらいたかったので一生懸命頑張った。

「見てください、お父様。百点を取りました」
「……さゆり、そんなものを見せるために起きていたのか?」
「えっ……はい」
「そんなもの取れて当然だろう。俺は疲れているからくだらんことに時間を使うな」
「……ごめんなさい」

 百点は当たり前、それだけのことで喜んではいけない。

「さゆり、次のパーティーにはこれを着て行きなさい」
「お母様、この前着たさくらんぼ柄のドレスはどうされたのですか?」
「ああ、あれはもう捨てたわ」
「えっ……」
「あんな子どもっぽくてダサいドレス着た娘連れてたら、私の品位が落ちるでしょ?」
「……そう、ですよね」

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