聖女の愛した花園


「全員アリバイはなしということだものね」

 姫宮さまと笠吹さまが揃って唸る。

「ただ、一つだけ言えることがあります。お姉さまは十三時半から十四時半頃までの間、誰かと会っていた」

 私の言葉に全員が驚き、一斉に視線をこちらに向ける。私は部屋にティーカップが二つあったことから誰かと会っていた可能性があることを説明した。

 ティーカップはお姉さまのお気に入りであり、大切な人と会う時に使われていたということも。

「要するにこの中の五人は誰でも可能性があるし、嘘をついている人物がいるということになりますね」

 しばらくの間沈黙が続いたが、重い口を開いたのは笠吹さまだった。

「……外部の人間という可能性はないの?」
「外部の人間?」
「さゆりさんのメイドだって外部の人間でしょう? 彼女が使ったカップだという可能性だってあるわ」
「確かにそれもありますが、メイドとお気に入りのカップでお茶するでしょうか」
「それは……そうだけど」

 現実的ではないと自分でもわかっていたのか、それ以降は何も言わなかった。


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