聖女の愛した花園
私は心底イライラしていた。実家を白雪に買収された哀れな家の娘がさゆりと友達ごっこをしようとすることにも、彼女のことを友達だというさゆりにも。さゆりには私がいるじゃない。どうしてそんな子を構うのよ。
「……っ、帰るわ」
「待って蘭華!」
私はさゆりを無視して立ち去った。いつだってさゆりの隣は私だけのものだったのに。あんな子に許すなんてさゆりはどうかしてる。
それ以降もさゆりは佳乃子と一緒にいることが多かった。それが悔しくて憎らしくて仕方なかった。あまりにも我慢がならず、私はさゆりの部屋を直接訪ねた。
「どうしてあの子ばかり構うの? 白雪傘下の企業の娘なんてこの学院にたくさんいるじゃない」
「佳乃子さんは複雑な事情を抱えているの。今は彼女に寄り添ってあげたいのよ」
「複雑な事情って何?」
「それは話せないわ」
何よ、それ。どうせ大したことないに決まってる。さゆりのことを独り占めしたいから、さゆりの同情を引こうとしているだけなんだわ。
「さゆり、騙されちゃダメよ。どうせ彼女はあなたが白雪財閥の娘だからいい顔してるだけなんだから」
みんなが好きなのはさゆりの肩書きだけ。本当に望むものはさゆりの先にある白雪財閥という後ろ盾だ。本当の意味であなたのことを理解して愛してあげられるのは私だけなのよ。そう思っていたけれど――
「蘭華、どうしてそんな風に言うの?」