聖女の愛した花園
「ああ、彼女は乙木佳乃子さん。今年から同じクラスになったの」
「そう、乙木さん……」
「初めましてっ、乙木佳乃子と申します」
乙木佳乃子は慌てたようにペコッと頭を下げる。乙木さんは黒髪のショートカットで童顔だからかまだ小学生に見える。顔にはそばかすが目立ち、お世辞にも美人とは言えない顔だ。何故こんな地味な子がさゆりと一緒にいるの?
「こちらは笠吹蘭華さん。私の幼なじみなの」
「笠吹さんってあの……」
「ええ。あの、笠吹メディカルグループの娘ですけど、何か?」
「いえ……」
乙木さんは明らかに萎縮していた。そうよ、もっと自分の身の程を知りなさい。さゆりに相応しいのはあなたじゃなく私なんだから。
「乙木さんはどちらの? 失礼だけど、お名前を存じ上げなくて」
「えっと、その……」
「佳乃子さんのお父さまは乙木家具という会社を経営してらっしゃるの。だけど色々あって白雪財閥が経営する白雪インテリアに吸収合併されることになったのよ」
「あら、つまりあなたはさゆりの腰巾着ってわけね」
私の皮肉に乙木さんはただ俯く。さゆりが言った。
「蘭華、そんな言い方は良くないわ。私は佳乃子さんとお友達になれて嬉しいと思ってるのよ」
「友達? 友達になんてなれるわけないじゃない」