氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
せめてこの旅路に、あなたがいてくれるだけで心強い。

そして私は、馬車に乗り込んだ。

扉が閉まり、揺れる車輪の音と共に、ルナリエ王国の風景が遠ざかっていく。

いざ――敵国、ヴァルクレア帝国へ。

冷たい皇帝のもとへ。

私の運命は、もう、引き返せない場所へと進み始めた。

そして――私はついに、ヴァルクレア帝国の宮殿に足を踏み入れた。

その瞬間、思わず息を呑んだ。

目の前に広がるのは、これまで私が見たこともないほどの豪華絢爛な世界。

天井は高く、黄金の装飾が輝き、磨き抜かれた大理石の床が音もなく私の足音を吸い込んでいく。

これが、帝国の力。敵国として恐れていたヴァルクレアの、本当の姿だった。

そして、この宮殿の主――“氷の皇帝”と呼ばれる男。

冷酷で、情を持たないと聞かされてきた、あのルシウス・ヴァルクレア。
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