氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
その本人が、玄関の大扉からまっすぐに現れた。
高く整った体躯、夜のように暗く澄んだ瞳。
その一歩一歩が、宮殿の空気すら震わせるようだった。
「遠路はるばる、ご苦労だった」
低く、よく通る声が私に向けられる。
私は慌てて礼をとった。
「アナベル・ルナリエです。……このたびは、末永くよろしくお願いいたします」
そして恐る恐る顔を上げた、その瞬間だった。
「っ……」
ルシウスがすっと手を伸ばし、私の顎を指先でそっと持ち上げた。
その動きはあまりにも自然で、しかし、拒む隙すらない。
「……なるほど。確かに、“聖女”と呼ばれるわけだ」
その目に、冷たい光が宿っていたのに――なぜか、熱を帯びているようにも感じた。
この人はいったい、何を見て、何を考えているの……?
胸がざわめき、私はそのまま彼の瞳から目を逸らすことができなかった。
高く整った体躯、夜のように暗く澄んだ瞳。
その一歩一歩が、宮殿の空気すら震わせるようだった。
「遠路はるばる、ご苦労だった」
低く、よく通る声が私に向けられる。
私は慌てて礼をとった。
「アナベル・ルナリエです。……このたびは、末永くよろしくお願いいたします」
そして恐る恐る顔を上げた、その瞬間だった。
「っ……」
ルシウスがすっと手を伸ばし、私の顎を指先でそっと持ち上げた。
その動きはあまりにも自然で、しかし、拒む隙すらない。
「……なるほど。確かに、“聖女”と呼ばれるわけだ」
その目に、冷たい光が宿っていたのに――なぜか、熱を帯びているようにも感じた。
この人はいったい、何を見て、何を考えているの……?
胸がざわめき、私はそのまま彼の瞳から目を逸らすことができなかった。