氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
「結婚式は今夜だ。」

――その一言に、私は思わず声を上げていた。

「ええ……!? 今夜⁉」

まさか、着いたその日に結婚だなんて――。

心の準備も、何もできていないのに。

「驚くことか? 何をしにここへ来た。」

その冷たい声に、胸が締めつけられた。

そうだ、私は政略の駒。愛など求めてはいけない。

けれど、こんなにも心が折れそうになるなんて。

「ドレスを用意してある。部屋へ行って、着替えて来い。」

「……もうっ!」

私は目を伏せ、唇を噛んだ。

あまりにも展開が早すぎる。

まるで私の心の動きなど、どうでもいいかのように。

それでも、ふと気になって、彼を見上げた。

その鋭い視線は変わらぬままだったけれど、私は小さな疑問をぶつけた。

「……あなたは、着替えないのですか?」

彼の装いは、帝国の軍服のままだった。

黒を基調とし、肩章に刻まれた紋章が威厳を放っている。

「このままでいいだろう。」

「でも……今日は、結婚式ですよ?」
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