氷の皇帝と、愛に凍えていた姫君 ~政略結婚なのに、なぜか毎晩溺愛されています~
「……俺とだけだからな。」

低く、でも真剣な声に、私は何度も頷いた。

この人のものになる。そう決めたのは、私自身だ。

「……ああ、綺麗だ。」

ルシウスの目が、どこまでも優しく揺れていた。

冷徹と呼ばれた皇帝の中に、こんなにも切なげな表情があるなんて――

私は言葉もなく、ただ見つめ返すしかできなかった。

「初めて見たときから……ずっと思ってた。」

彼の声が少しかすれ、胸の奥がじんと熱くなる。

「……手に入れた、俺の運命の人……」

「……運命?」

私は思わず聞き返した。

それは――引き寄せられたということ?

この人と、私が?

「そうだ。あのとき、おまえの祈る姿を見て……たまらなかった」

ルシウスは苦しげなほど愛おしそうに言った。

「君を、欲しいと望んでよかった」

その言葉に、涙がこぼれた。

私は誰かの“駒”としてここに来たはずだったのに。
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