愛しのマイガール

「……疲れただろ」

そう口にした自分の声が、ほんの少しだけ掠れていたことに、気づかないふりをした。

「ちょっとだけ。でも、嫌じゃなかったよ」

そう言って見上げてくるその目に澱みはない。だからこそ一層、不安に煽られる。

「ん。頑張ったな、るり」

彼女の頬が紅く染まり、目尻が少しだけ緩む。

その表情を見るだけで、身体の奥が熱くなる。
なんでこんなに愛しいんだろう。

でも同時に、ほんの少しずつ、俺のるりへの支配欲が焦りに変わってきている。

(見守るって、こんなに苦しいのかよ……)

本当は、手を引いてやりたい。るりの全てを囲って、二度と傷つけさせない場所に閉じ込めてしまいたい。

けどそれは、彼女が選んだ“俺の隣に立ちたい”という意志を、俺が否定することになる。

だから俺は、今日だけは口をつぐむ。

見守る。でも、手は離さない。

背中を押すふりをして、腕は伸ばしている。もし少しでも足元が揺れたなら、すぐに抱き留める距離で。

「……いつか、思い知らされるかもしれないな」

「え?」

「いや、なんでもない」

俺は小さく首を振って、彼女の手をそっと握り直した。

(たとえどうなっても、俺はるりを愛してる)

どんなに立派に変わったとしても。どんなに他人から褒められるような女になったとしても。

俺のものだ。
蓬来瑠璃は、俺だけの女性だ。

そう確信してるからこそ、今夜は見守ることができる。

——でも、誤解しないでくれよ

たとえ君がどこまで行こうと、絶対に離さない。

それが、俺の独占──愛し方だから。

< 100 / 200 >

この作品をシェア

pagetop