愛しのマイガール
「……疲れただろ」
そう口にした自分の声が、ほんの少しだけ掠れていたことに、気づかないふりをした。
「ちょっとだけ。でも、嫌じゃなかったよ」
そう言って見上げてくるその目に澱みはない。だからこそ一層、不安に煽られる。
「ん。頑張ったな、るり」
彼女の頬が紅く染まり、目尻が少しだけ緩む。
その表情を見るだけで、身体の奥が熱くなる。
なんでこんなに愛しいんだろう。
でも同時に、ほんの少しずつ、俺のるりへの支配欲が焦りに変わってきている。
(見守るって、こんなに苦しいのかよ……)
本当は、手を引いてやりたい。るりの全てを囲って、二度と傷つけさせない場所に閉じ込めてしまいたい。
けどそれは、彼女が選んだ“俺の隣に立ちたい”という意志を、俺が否定することになる。
だから俺は、今日だけは口をつぐむ。
見守る。でも、手は離さない。
背中を押すふりをして、腕は伸ばしている。もし少しでも足元が揺れたなら、すぐに抱き留める距離で。
「……いつか、思い知らされるかもしれないな」
「え?」
「いや、なんでもない」
俺は小さく首を振って、彼女の手をそっと握り直した。
(たとえどうなっても、俺はるりを愛してる)
どんなに立派に変わったとしても。どんなに他人から褒められるような女になったとしても。
俺のものだ。
蓬来瑠璃は、俺だけの女性だ。
そう確信してるからこそ、今夜は見守ることができる。
——でも、誤解しないでくれよ
たとえ君がどこまで行こうと、絶対に離さない。
それが、俺の独占──愛し方だから。