愛しのマイガール

小さくて、細くて、頼りないほどに華奢で。でもその奥に、今にも折れそうなほどまっすぐな意志がある。

前髪をかきあげて、そっと額に唇を落とす。


「今日は、よく頑張ったな」

「……えっ、えと…うん」

少し照れたように笑って、彼女はうつむいた。

「英子さんにたくさん教わって……、 “立ち方ひとつで女の品格は決まるのよ”って言われて、ハルちゃんの隣に立つなら、ちゃんとしなきゃって思って……」

「そうか」

俺は、なるべく穏やかに返す。それ以上は何も言わなかった。

彼女の話をさえぎりたくなかったのもある。
けれど本当は、簡単に口にしてしまいそうだったからだ。

“無理なんてするな”、“頑張らなくていい”と。それを言えば、せっかく前を向き始めたこの子の決意まで、沈ませてしまうかもしれない。

るりは過去を断ち切るために、俺の隣に立つために、頑張ろうとしてくれている。本来ならそれは、心の底から嬉しいことのはずだ。

でも、どうしようもなく胸が疼く。

(ほんとは……何も変わらなくていいのに)

もし彼女が自分で立てるようになったらいつか、俺じゃなくてもいいと思ってしまうんじゃないかと、考えてしまう。

そんなはずはない。そう思うくせに、理性とは別のところで本能が警鐘を鳴らしている。

誰にも渡したくない。
誰にも触れさせたくない。
そのまま、ずっと俺の隣にいてほしい。

守りたい、なんて綺麗ごとじゃない。
俺は──彼女を、誰よりも欲してる。

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