愛しのマイガール
孤立している。そうはっきり思いたくなかった。
自分の立場も、これまでの信頼も、一つひとつ積み上げていこうというときだった。だからここで弱音を吐いたら、それがすべて崩れてしまいそうで、私はただ、黙って前を向いた。
「お疲れさまです、蓬来さん」
そう言って手渡される資料は、どこか“用意された役割”のものばかりだった。
視察の同行、取材の対応、スピーチ台本の読み合わせ。実務には、ほとんど関われない。
(……違う。私はちゃんとやれる。まだ終わってない)
そう言い聞かせて、残されたわずかな業務に心を込めた。内容を細かく見直し、裏どりを重ね、相手の意図まで汲んで調整をかけていく。
誰にも気づいてもらわなくてもいい。
私だけは、自分を見失いたくなかった。
けれど日々の中で少しずつ、確実に心はすり減っていった。
「蓬来さん、すみません、この資料なんですが……あ、いえ。やっぱり大丈夫です。こっちでまとめてるので」
「……あ、そうなんですね…」
いまのは、ただの確認。
でも、言葉の奥にほんのわずかでも「必要とされていない」空気があったことが、痛いくらい伝わってしまう。
いつの間にか、深く呼吸することすら忘れていた。
そんなある日。帰り際のエントランスで、ハルちゃんが私を呼び止めた。