愛しのマイガール
「るり」
彼の声はどこまでも静かで優しいのに、どこか焦りがにじんでいた。私が日に日に孤立していくことに、気づいているのだと思う。
「……顔色が悪い。すぐに車を回させるから、それに乗って…」
「大丈夫。私、一人で帰れるから」
私は笑って言った。出来るだけ自然に。これ以上、ハルちゃんに迷惑はかけられない。
けれどハルちゃんは酷く辛そうに、私に謝ってくる。
「本当にごめん……でも、既に対処は進めてる。少し時間はかかるけど、情報源は必ず抑える。だから……ひとりで全部抱え込まないでくれ」
その言葉に、一瞬だけ胸が熱くなる。でも私は、それすら押し込めるように首を振った。
「ありがとう。でも……これ以上、迷惑かけたくないの。私のことは何を言われてもいい。だけどこのことで、ハルちゃんの立場に傷がつくのが、一番いや」
「るり……」
彼の表情がわずかに揺れる。
けれど私はもう目を逸らしていた。立ち止まったら、心の奥に溜まった何かが零れそうだったから。
(まだ、大丈夫。平気。これくらい、自分で乗り越えなきゃ)
何度もそう思い込んできた。けれどその強がりの中で、私は少しずつすり減っていた。
——それでも私は、立ち続けようとしていた。
誰かに救われるのを待つのではなく、自分の足で立っていたかった。そうすることでしか、今の自分の存在を、守れない気がした。