愛しのマイガール
「九条薫子とその周辺に動いた連中、記者クラブへの金の流れも掴んだ。ネット工作会社への依頼記録もだ。密会写真の拡散ルートも割り出してある」
「……そんなに?」
「いつでも潰せる。るりを追い詰めるためにやったこと、その全部が証拠として揃った。逃げ道はない」
静かな声だったけれど、そこには確かな自信と決意が込められていた。ハルちゃんがどんな思いで動いてくれたのか、その言葉の一つ一つが胸に響く。
「ハルちゃん……」
私の声が、少しだけ震えていた。だけどそれは、怖さのせいじゃない。
「必ず取り返す。るりの名誉も、居場所も、笑顔も……全部」
そう言ってハルちゃんは微笑んだ。その顔があまりにも優しくて、胸の奥がじんとする。
私は小さく頷いて、一呼吸置いて口を開いた。
「ねえ、ハルちゃん」
「ん?」
ハルちゃんの瞳が、静かに私を見つめる。
「私……自分の口で、伝えたい」
「……え?」
「私…薫子さんに会った時、何も言い返せなかった。もちろん天城さんに感情で動くなって忠告されてたこともあるけど……それ以上に怖くて、声が出なかった。悔しかったし、反省した。私は結局また…ハルちゃんに甘えてるって」
「るり、それは……」
「だから、今度は自分で自分の気持ちを、ちゃんと伝えたい。じゃないと、乗り越えられないと思うから……」
ハルちゃんの表情が少しだけ揺れた。とても心配してくれているのが分かる。だけどこれだけは、譲れなかった。