愛しのマイガール

得意げに笑うその声に、自然と心がやわらいでいく。無邪気な笑顔になんだかとても癒された。

(かわいい…)

そのときだった。

「——(つむぎ)…っ!」

遠くから聞こえた、焦りの混じった心配そうな声。女の子の肩がぴくりと動く。

思わずそちらに目を向けると、淡いベージュのワンピースの裾を揺らしながら、女性が息を切らしながらこちらへ駆けてくるのが見えた。

その人は私の隣にいた小さな女の子の手を取ると、しゃがみ込んでぎゅっと抱きしめた。

「もう、勝手に走って行ったらダメでしょう?」

「……ごめんなさい。でも、おねえちゃん、ないてたから」

その言葉に、母親らしき女性が私の方へ視線を向ける。どこか気まずそうに眉を下げながらも、まっすぐなまなざしで頭を下げてきた。

「娘がごめんなさい。びっくりさせてしまいましたよね…?」

戸惑いと心配が混ざったような声。丁寧な仕草から、きっと普段からこうして子どもに寄り添っているんだろうな、と思った。

「私、この子の母です。すみません、本当に。突然話しかけてしまって……あの、うちの子が何か失礼を…?」

「! いえ、そんな。違うんです。むしろ……こちらが助けてもらったようなもので」

思わず首を振りながら答えると、女性はほっとしたように、やわらかく微笑んだ。その笑みの奥には、母親としての気遣いや穏やかさがにじんでいて、無意識に込めていた力が抜けていく。

彼女は立ち上がると、そっと紬ちゃんの手を取り、やさしい声で言った。

「つーちゃん。お姉さんびっくりしたでしょう? お母さんと一緒にごめんなさいしよう?」

「……うん。おねえちゃん、びっくりさせてごめんなさい。でも、ないてたから……」

「……ありがとう、紬ちゃん」


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