愛しのマイガール
「まさか実家の食卓で、ダチと妹のイチャイチャ見る羽目になるとはな。すげー胃と精神にくるわ」
「い、いちゃいちゃなんかしてな…」
気付けば、食卓が生暖かい空気に包まれていた。
いたたまれなくて、恥ずかしくて、私はハルちゃんを見られずにお皿に視線を落とした。
お母さんはにこにこと私を見つめ、お父さんはマイペースにポタージュをすくっていた。
お兄ちゃんも口では茶化しているけれど、その目元には確かな優しさがあった。
「……瑠璃が、結婚か…」
ふと、お兄ちゃんがぽつりと呟いた。
「いや、心配には違いねえよ。なんせ相手はあの月城だ。けど……巴琉の隣なら、お前も笑ってられるんだろうなと思ってよ」
「お兄ちゃん……」
その言葉に、少しだけ目が潤んでしまった。
騒がしくて、優しくて、どこか懐かしい家族の声。
何気ない会話の中に紛れた、さりげない心配。
お母さんの手料理の香り。お父さんの独特な音楽の例え。そしてちょっと小うるさいお兄ちゃんと囲む、にぎやかな食卓。
都会の喧騒でもクリニックの忙しさでもない。モデルの顔でも、月城の婚約者という肩書きでもない。
私が私のままで、いられる場所。