愛しのマイガール
「……ありがとう、お兄ちゃん」
そっとそう告げるとお兄ちゃんはふっと笑い、いつもの茶化す調子に戻りながらも、真っ直ぐな目でハルちゃんを見た。
「ま、認めてやるよ。巴琉になら…瑠璃を預けてやってもいい」
食卓の空気が、すこしだけ静かになる。
ハルちゃんはほんのわずかに目を細め、それからゆっくりと姿勢を正した。
まっすぐお兄ちゃんを見返して、落ち着いた声で言う。
「上等だ。それに預かるんじゃない。俺の人生に迎えるんだ。絶対に離すもんか」
「随分な自信だな」
「当然だろ。るりに選んでもらうためだけに、俺は全部を揃えてきたんだから」
「……はー…やっぱ胃が痛ぇわ」
そう言って椅子にもたれるお兄ちゃんの表情には、どこか安心したような色がにじんでいた。
私は、ふたりのやりとりを黙って見ていた。
お兄ちゃんの、ちょっと面倒だけど真っ直ぐな愛情と、ハルちゃんの揺るがない優しさと覚悟。
形は違っても、そのふたつの愛情に私はまるごと包まれていた。