愛しのマイガール
「ハルちゃんにはなんでもバレちゃうね。……えっと、外の庭園、夜でも幻想的だなって」
「君がそう言ってくれるなら、整備してきた甲斐があるよ。よかったら、少しだけ歩いてみるか?」
「いいの?…じゃあ、ちょっとだけ」
ガラス戸を開けると、夜の空気がふわりと肌を撫でた。るりがそっと一歩を踏み出し、俺も隣に並ぶようにして庭へ出る。
ライトアップされた低木の影が、芝の上に静かに伸びている。風がゆるやかに流れ、草の香りが鼻先をくすぐった。
「……ここ、本当に静かだね。音がまるで遠くで鳴ってるみたい」
「日中でもあまり人は通らない。外と切り離すように設計してあるんだ。一人になりたい時に、そうできるように」
「そっか。私……なんだかここ、好きだな。こんなに広いのに、落ち着く」
「君がそう感じてくれるなら、それだけで価値がある」
るりが少しだけこちらを向いて、目を伏せるように笑った。
「……やっぱりハルちゃんってずるいよ。ただでさえかっこいいのに、すぐ甘いこと言う」
「るりにしか言わないよ」
「そうやって、すぐに私を甘やかそうとするんだもん。……だから私、また簡単に恋しそうになる」
その言葉に、心臓がひときわ強く鳴った。
目の前の彼女は、まだどこか不安げで、でもそれでも、少しずつ歩み寄ってくれている。
「……それでいい。何度でも恋してくれ。そうしたら、それだけ俺は君を大切にできるから」
言った直後、照れ隠しのようにるりが顔を逸らした。その横顔に、手を伸ばしかける。
——けれど、そのときだった。
背後から控えめな足音が近づき、使用人の一人が静かに姿を現した。