キミに伝えたいことは。
あのこは【side凛乃】
わたしは花園凛乃。中学2年生。
突然だけど、引っ越して、転校することになった。
普通なら、友達と離れて寂しい気持ちでいっぱいなんだろうけど、わたしにはない。
なぜなら、ずっと1人だったから。ともだちなんていなかったから。わたしだって「友達」は欲しかった。
だけど、みんなに馴染めなかった。わたしに話しかけようともしなかった。わたしはふつうに、みんなと同じように生活しているはずだったのに、友達はできなかった。
…………また、1人で過ごすんだろうな。
今日は新しい学校、新しいクラスに入る日。
緊張する。だけど、わたしは昔から顔に出ないタイプだから大丈夫なはず……。
「今日から君の担任の熊田だ。よろしく」
「よろしくお願いします」
「今日、入ってきていいと言ったら教室に入って、自己紹介をしてくれ。短いものでいいぞ」
簡易な挨拶をして、新しい担任となる熊田先生と教室まで一緒に来た。
─キーンコーンカーンコーン
チャイムがなった。
熊田先生は扉を開けて、教室に入っていった。
「はーい、席つけー。」
扉越しに熊田先生の声が少し聞こえた。
自己紹介、どうしようかな。
時間もないし……。
そう考えた時、
「みんな知っているかもしれないが、転校生が来た。入っていいぞー。」
と熊田先生の声が聞こえた。
タイミングが悪く、溜息をつきそうになる。
─ガラガラッ。
ドアを開けて、みんなの前に立つ。
意外と、人多いな。
ここは都会っぽいけど、こんなに多いとは思わなかった。
「よし。じゃあ自己紹介しろー」
自己紹介したところで、どうせ友達はできない。
「花園凛乃です。これからよろしくお願いします。」
簡易的なパッと思いついた自己紹介をした。
ただ、名前を言っただけだけど。
「みんな仲良くしてやれよー」
仲良くなんてしなくていい。
わたしは本音を抑えるようにそう思った。
その時、知っているような女の子と目が合った。
肩くらいまでのボブ、落ち着いた色の髪。藍色の、少し水色の混じった青空のような瞳。
何かが引っかかった。
……思い出した。
"空野夏葉"
『なっちゃん。』
目を離したいと思った。たけど、嬉しくて、懐かしくて、…でも罪悪感があって。
複雑な気持ちになった。目は、離せなかった。
大人数の中から、見つけてしまった。
腑に落ちた。
なっちゃんの瞳が大きく揺れて、口も驚いたように小さく開いていた。
もしかして、気づいちゃったのかな。
突然だけど、引っ越して、転校することになった。
普通なら、友達と離れて寂しい気持ちでいっぱいなんだろうけど、わたしにはない。
なぜなら、ずっと1人だったから。ともだちなんていなかったから。わたしだって「友達」は欲しかった。
だけど、みんなに馴染めなかった。わたしに話しかけようともしなかった。わたしはふつうに、みんなと同じように生活しているはずだったのに、友達はできなかった。
…………また、1人で過ごすんだろうな。
今日は新しい学校、新しいクラスに入る日。
緊張する。だけど、わたしは昔から顔に出ないタイプだから大丈夫なはず……。
「今日から君の担任の熊田だ。よろしく」
「よろしくお願いします」
「今日、入ってきていいと言ったら教室に入って、自己紹介をしてくれ。短いものでいいぞ」
簡易な挨拶をして、新しい担任となる熊田先生と教室まで一緒に来た。
─キーンコーンカーンコーン
チャイムがなった。
熊田先生は扉を開けて、教室に入っていった。
「はーい、席つけー。」
扉越しに熊田先生の声が少し聞こえた。
自己紹介、どうしようかな。
時間もないし……。
そう考えた時、
「みんな知っているかもしれないが、転校生が来た。入っていいぞー。」
と熊田先生の声が聞こえた。
タイミングが悪く、溜息をつきそうになる。
─ガラガラッ。
ドアを開けて、みんなの前に立つ。
意外と、人多いな。
ここは都会っぽいけど、こんなに多いとは思わなかった。
「よし。じゃあ自己紹介しろー」
自己紹介したところで、どうせ友達はできない。
「花園凛乃です。これからよろしくお願いします。」
簡易的なパッと思いついた自己紹介をした。
ただ、名前を言っただけだけど。
「みんな仲良くしてやれよー」
仲良くなんてしなくていい。
わたしは本音を抑えるようにそう思った。
その時、知っているような女の子と目が合った。
肩くらいまでのボブ、落ち着いた色の髪。藍色の、少し水色の混じった青空のような瞳。
何かが引っかかった。
……思い出した。
"空野夏葉"
『なっちゃん。』
目を離したいと思った。たけど、嬉しくて、懐かしくて、…でも罪悪感があって。
複雑な気持ちになった。目は、離せなかった。
大人数の中から、見つけてしまった。
腑に落ちた。
なっちゃんの瞳が大きく揺れて、口も驚いたように小さく開いていた。
もしかして、気づいちゃったのかな。