宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―
任命の儀が終わり、帝の御前にて再び拝謁した伊継は、老いた身を正し、深く頭を下げた。
「この老いぼれ、老体に鞭打ってでも、職の務めを果たしてみせます。」
帝は頷き、静かに、しかしはっきりと次の言葉を口にした。
「綾子を、朕の女御として――正式に入内させたい。」
その一言に、伊継はわずかに目を見開いたが、すぐにすべてを悟ったようにまた頭を深く垂れる。
「……その件、直ちに進めさせていただきます。」
その声は、父としての喜びと誇りを滲ませた、確かな誓いだった。
「そうか。」
帝は静かに微笑む。
思いのままに召し、重ねた夜のぬくもり。
そして、ようやく得た“女御としての綾子”。
それはただの愛妾ではない。帝が、自ら選んだ女。
誰に遠慮することもない、正しき後宮の寵姫として。
帝の胸は、深く静かな満足で満ちていた。
だがそれが、さらなる後宮のざわめきと、もう一人の女御――詠子の心を動かす序章になることを、このとき帝はまだ知らなかった。
「この老いぼれ、老体に鞭打ってでも、職の務めを果たしてみせます。」
帝は頷き、静かに、しかしはっきりと次の言葉を口にした。
「綾子を、朕の女御として――正式に入内させたい。」
その一言に、伊継はわずかに目を見開いたが、すぐにすべてを悟ったようにまた頭を深く垂れる。
「……その件、直ちに進めさせていただきます。」
その声は、父としての喜びと誇りを滲ませた、確かな誓いだった。
「そうか。」
帝は静かに微笑む。
思いのままに召し、重ねた夜のぬくもり。
そして、ようやく得た“女御としての綾子”。
それはただの愛妾ではない。帝が、自ら選んだ女。
誰に遠慮することもない、正しき後宮の寵姫として。
帝の胸は、深く静かな満足で満ちていた。
だがそれが、さらなる後宮のざわめきと、もう一人の女御――詠子の心を動かす序章になることを、このとき帝はまだ知らなかった。