宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―
「……彰親様……」

その一言に、帝の動きが一瞬止まる。

名を、呼ばれた。

この時代、諱(いみな)を口にするのは、心を許した者だけ。

それは、綾子が帝に心を――魂を捧げている証だった。

「……もっと呼んでくれ、朕の名を。」

切なげに求めるその声に、綾子は頬を紅く染めながら、ふたたび囁く。

「彰親様ぁ……」

その声に煽られるように、帝はさらに深く、激しく求めた。

身を重ねるたび、心も溶け合ってゆく。

やがて、激しい動きの果てに、熱いものが綾子の奥に注ぎ込まれる。

「……はぁっ……」

綾子が身を震わせて息を吐く。

もう、これが何度目かも分からない。

ただ確かなのは――この女に触れずにはいられないという、どうしようもない執着だった。

綾子の名も、声も、香りも、すべてが帝の心に刻まれていた。

それはもう、愛ではなく、依存に近い熱情へと変わりつつあった。
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