宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―
しばらくして、左大臣・藤原公衡の娘――藤原詠子が正式に入内した。
初々しい緋色の打掛に包まれ、几帳の奥へと進むその姿は、まさに後宮の新たな華。
御簾の内からそれを見つめていた帝・彰親は、ただ静かに遠目でその様子を眺めていた。
詠子は、確かに若かった。
年齢は綾子より五つも下。柔らかく整った顔立ちに、控えめながらも明るい気配を纏っている。
まだ何も知らない無垢さと、育ちの良さが同居するような、不思議な透明感。
その瞳がふと帝の方を向いた。
一瞬、視線が交錯する――
そして、にこっと笑った。
その笑顔は作られたものではなく、どこまでも自然で、愛くるしかった。
誰に教えられたわけでもない、“人を惹きつける天性の笑み”。
帝は、思わず視線を逸らしそうになった。
――ああ、あの娘は、愛されることを知っているのだ。
初々しい緋色の打掛に包まれ、几帳の奥へと進むその姿は、まさに後宮の新たな華。
御簾の内からそれを見つめていた帝・彰親は、ただ静かに遠目でその様子を眺めていた。
詠子は、確かに若かった。
年齢は綾子より五つも下。柔らかく整った顔立ちに、控えめながらも明るい気配を纏っている。
まだ何も知らない無垢さと、育ちの良さが同居するような、不思議な透明感。
その瞳がふと帝の方を向いた。
一瞬、視線が交錯する――
そして、にこっと笑った。
その笑顔は作られたものではなく、どこまでも自然で、愛くるしかった。
誰に教えられたわけでもない、“人を惹きつける天性の笑み”。
帝は、思わず視線を逸らしそうになった。
――ああ、あの娘は、愛されることを知っているのだ。