宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―
「婚礼の儀においては、三夜通いが通例にございます。今宵も詠子の元へお運びを。」
「……三日も、か。」
ぽつりとこぼしたその言葉に、公衛の眉がかすかに動いた。
「何か……お気に召しませなんだか。」
帝はゆっくりと視線を上げ、公衛を見据えた。
「いや、あれはあれで……よい。」
微かにそう告げたが、どこか寂しげな声音が残る。
義務としての夜。それ以上でも、それ以下でもない。
帝の心は、まだ綾子の面影を抱いたままだった。
そして、今宵も詠子が帝のもとにやってきた。
絹の衣擦れの音を立てながら、静かに御簾の内へと進み出る。
「今宵は……妃の役目を果たします。」
そう告げた彼女は、決意を秘めた眼差しで寝着の紐に手をかけた。
だがその細い指先は微かに震えている。
「震えているぞ。」
帝が言うと、詠子は目を伏せながらも寝着を脱ぎ、肩をあらわにした。
「それでも……初めてを、帝に捧げたいのです。」
「……三日も、か。」
ぽつりとこぼしたその言葉に、公衛の眉がかすかに動いた。
「何か……お気に召しませなんだか。」
帝はゆっくりと視線を上げ、公衛を見据えた。
「いや、あれはあれで……よい。」
微かにそう告げたが、どこか寂しげな声音が残る。
義務としての夜。それ以上でも、それ以下でもない。
帝の心は、まだ綾子の面影を抱いたままだった。
そして、今宵も詠子が帝のもとにやってきた。
絹の衣擦れの音を立てながら、静かに御簾の内へと進み出る。
「今宵は……妃の役目を果たします。」
そう告げた彼女は、決意を秘めた眼差しで寝着の紐に手をかけた。
だがその細い指先は微かに震えている。
「震えているぞ。」
帝が言うと、詠子は目を伏せながらも寝着を脱ぎ、肩をあらわにした。
「それでも……初めてを、帝に捧げたいのです。」