宵の月、秘めたる契り―帝に愛された二人の女御―
「もう……終わる。」

帝が告げると、詠子はこくりと頷いた。

その瞬間、帝は深く腰を押し入れ、己の熱を彼女の奥へと注いだ。

「あっ……」

わずかな苦しみの中に、かすかな喜びが混じる。

それが伝わってくるだけで、帝の胸は満たされていく。

「大丈夫か?」

「……はい。」

震える声で応えた詠子を、そっと腕の中に抱き寄せた。

細くて柔らかい身体が、自分の中にすっぽりと収まってくる。

これが初心な生娘――。

綾子とはまるで違う。だがそれは、決して劣るものではなく、別の形の愛おしさだった。

帝はその夜、静かに詠子の髪を撫でながら、眠る彼女の温もりを、ゆっくりと噛みしめていた。
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