紳士な弁護士と偽りデートから
「探偵事務所って危険なのですか?」
茜音が聞いた。
「海都の話だと、依頼とかするみたいだよ」
「依頼ですか? どんな?」
あかりがわくわくしながら、食い込み気味に聞いてきた。
「まぁ......秘密事項だから、あまり言えないんだけどね......」
「そうでしたか。そうゆうのあるんですねぇ」
と、あかり。
周平は頷く。
「会社など考えているのですか?」
周平が言う。
「はい。もうすでに応募しました」
あかりはスマホをカバンから取り出して、
「この会社なんですけどー」
と、ホームページを二人に見せる。
「こじんまりとしたところねぇ」
と、茜音。
「興信所はそんなところだと思うよ。そこで大手弁護事務所と手を組むかどうかで、今後が決まるんじゃないかな? 多分ね」
「そうなんですね。坪平さんの勤めている会社と結んでいるということは、いいかも知れませんね」
「あかり、ひょっとして、それを見込んで応募したの?」
茜音の怪しい目。
「違うわよ。部長で初めて知ったの。受かるといいわぁ」
あかりはうきうきした。
「お腹空いたから、サンドイッチお願いー」
あかりは頼んだ。
「そうね」
茜音は微笑んで、店をオープンにしてから、サンドイッチを作り出した。
周平はいつまでも納得行かない表情をしながら、コーヒーを飲んだ。
それから、探偵事務所の面接当日。
あかりはドキドキしながら、探偵事務所へ向かった。ドアのノックをする。
「和美ちゃーん、お客さんよー」
なんだかふにゃりとした男性の声が聞こえて来て、あかりは少し引いた。え? 大丈夫かな? と。
「漆山さん、今日は面接日ですよ。しゃんとなさって下さい」
和美という声の持ち主は、少し年配風の女性。
「しゃーない」
その男性がやってくる陰が見えた。あかりは緊張してきた。
「物好きな淑女よ、探偵事務所へようこそ」
少し小柄な青年で、雰囲気がワンコ型っぽく感じる。
「た、橘あかりです! よろしくお願い致します」
あかりは頭を下げる。
男性はニコリとして、部屋に促す。
「ボスはまだ来ないのー? 和美ぃ」
「しょ、所長さんではないのですか?」
あかりは少しほっとした。
「あー、今、俺を見てほっとしたでしょう」
あかりは慌てて、
「そ、そんなつもりはないです!」
と、手を振った。
「まぁ、いいけど」
漆山という男性はふふ、と、微笑んだ。
「ボスが来るまで、腰かけて待ってて」
あかりは軽く会釈をして、黒光りのソファーに促された。来客用なソファーのよう。部屋の中はアンティークで色々揃えられていてお洒落だ。
「素敵な物ばかりでしょう?」
「はい」
「どれもボスの趣味」
結構うまく行っている探偵事務所なのでは? と、あかりは感じた。
「コーヒーでも淹れるよ」
「ありがとうございます」
「そんな固くならないで」
面接でコーヒーが出てくるとは思いもせず......、な、あかり。
あと、部屋にある小物がどれも素敵で、ワクワクしてしまう。
「そんな馴れ馴れしくしていたら固くなりますよ、女性は」
和美という女性はやんわりと言う。
「んー? まぁ、それが俺の特技だからねぇ」
元カレの匠を思い出して、あかりの中では、あまり良いイメージではない。
廊下から足音が聞こえてきた。
「ボスかな」
漆山の、その言葉に緊張した。
ドアが開き、
「申し訳ございません、少し送れてしまいました」
と、低い声の所長。
60代ぐらいだろうか? ダンディに感じられる。周平とは違う雰囲気だ。彼は椅子に腰掛ける。名前は田所と言う。
「早速、履歴書を拝見致します」
あかりは履歴書を渡した。
履歴書を見て、所長は目を丸くした。
「良い会社なのに、また、どうしてこの事務所を選んだのです?」
「はい。実は元カレを泳がそうと思って演技をしていたら、楽しくて。他に向いている職業があるのではと」
「そうですか。ハッキリしていて気持ちいいですね」
「それで、探偵事務所?」
漆山という男性は聞いてきた。
「弁護士の知り合いがいまして、この事務所を知っていたので」
「ほぉ......?」
と、所長。
和美という女性が、コーヒーを所長に渡す。
「はい。探偵事務所にも頼むみたいなことを話していらっしゃって、計算の他にも出来ることがあるんじゃないかと思いました」
「つまり、橘さんは現場もやりたいと」
「はい!」
「......結構シビアだよ?」
と、漆山。
「尾行や、カップルの振りですか?」
漆山は所長と目を合わせるだけで、何も言わなかった。
「ひとまず、人はいないし、計算は得意そうだから採用です」
なんだか濁されたが、ひとまず探偵事務所に就けるようだ。
「ありがとうございます!」
「ひとまず良かったね」
漆山は嬉しそうに言う。
「明日から出社するように。一応は8時から17時までだから」
「よろしくお願いします!」
あかりはニコリと微笑んだ。
茜音が聞いた。
「海都の話だと、依頼とかするみたいだよ」
「依頼ですか? どんな?」
あかりがわくわくしながら、食い込み気味に聞いてきた。
「まぁ......秘密事項だから、あまり言えないんだけどね......」
「そうでしたか。そうゆうのあるんですねぇ」
と、あかり。
周平は頷く。
「会社など考えているのですか?」
周平が言う。
「はい。もうすでに応募しました」
あかりはスマホをカバンから取り出して、
「この会社なんですけどー」
と、ホームページを二人に見せる。
「こじんまりとしたところねぇ」
と、茜音。
「興信所はそんなところだと思うよ。そこで大手弁護事務所と手を組むかどうかで、今後が決まるんじゃないかな? 多分ね」
「そうなんですね。坪平さんの勤めている会社と結んでいるということは、いいかも知れませんね」
「あかり、ひょっとして、それを見込んで応募したの?」
茜音の怪しい目。
「違うわよ。部長で初めて知ったの。受かるといいわぁ」
あかりはうきうきした。
「お腹空いたから、サンドイッチお願いー」
あかりは頼んだ。
「そうね」
茜音は微笑んで、店をオープンにしてから、サンドイッチを作り出した。
周平はいつまでも納得行かない表情をしながら、コーヒーを飲んだ。
それから、探偵事務所の面接当日。
あかりはドキドキしながら、探偵事務所へ向かった。ドアのノックをする。
「和美ちゃーん、お客さんよー」
なんだかふにゃりとした男性の声が聞こえて来て、あかりは少し引いた。え? 大丈夫かな? と。
「漆山さん、今日は面接日ですよ。しゃんとなさって下さい」
和美という声の持ち主は、少し年配風の女性。
「しゃーない」
その男性がやってくる陰が見えた。あかりは緊張してきた。
「物好きな淑女よ、探偵事務所へようこそ」
少し小柄な青年で、雰囲気がワンコ型っぽく感じる。
「た、橘あかりです! よろしくお願い致します」
あかりは頭を下げる。
男性はニコリとして、部屋に促す。
「ボスはまだ来ないのー? 和美ぃ」
「しょ、所長さんではないのですか?」
あかりは少しほっとした。
「あー、今、俺を見てほっとしたでしょう」
あかりは慌てて、
「そ、そんなつもりはないです!」
と、手を振った。
「まぁ、いいけど」
漆山という男性はふふ、と、微笑んだ。
「ボスが来るまで、腰かけて待ってて」
あかりは軽く会釈をして、黒光りのソファーに促された。来客用なソファーのよう。部屋の中はアンティークで色々揃えられていてお洒落だ。
「素敵な物ばかりでしょう?」
「はい」
「どれもボスの趣味」
結構うまく行っている探偵事務所なのでは? と、あかりは感じた。
「コーヒーでも淹れるよ」
「ありがとうございます」
「そんな固くならないで」
面接でコーヒーが出てくるとは思いもせず......、な、あかり。
あと、部屋にある小物がどれも素敵で、ワクワクしてしまう。
「そんな馴れ馴れしくしていたら固くなりますよ、女性は」
和美という女性はやんわりと言う。
「んー? まぁ、それが俺の特技だからねぇ」
元カレの匠を思い出して、あかりの中では、あまり良いイメージではない。
廊下から足音が聞こえてきた。
「ボスかな」
漆山の、その言葉に緊張した。
ドアが開き、
「申し訳ございません、少し送れてしまいました」
と、低い声の所長。
60代ぐらいだろうか? ダンディに感じられる。周平とは違う雰囲気だ。彼は椅子に腰掛ける。名前は田所と言う。
「早速、履歴書を拝見致します」
あかりは履歴書を渡した。
履歴書を見て、所長は目を丸くした。
「良い会社なのに、また、どうしてこの事務所を選んだのです?」
「はい。実は元カレを泳がそうと思って演技をしていたら、楽しくて。他に向いている職業があるのではと」
「そうですか。ハッキリしていて気持ちいいですね」
「それで、探偵事務所?」
漆山という男性は聞いてきた。
「弁護士の知り合いがいまして、この事務所を知っていたので」
「ほぉ......?」
と、所長。
和美という女性が、コーヒーを所長に渡す。
「はい。探偵事務所にも頼むみたいなことを話していらっしゃって、計算の他にも出来ることがあるんじゃないかと思いました」
「つまり、橘さんは現場もやりたいと」
「はい!」
「......結構シビアだよ?」
と、漆山。
「尾行や、カップルの振りですか?」
漆山は所長と目を合わせるだけで、何も言わなかった。
「ひとまず、人はいないし、計算は得意そうだから採用です」
なんだか濁されたが、ひとまず探偵事務所に就けるようだ。
「ありがとうございます!」
「ひとまず良かったね」
漆山は嬉しそうに言う。
「明日から出社するように。一応は8時から17時までだから」
「よろしくお願いします!」
あかりはニコリと微笑んだ。