紳士な弁護士と偽りデートから

ソワソワが、止まらない。

 数日後の土曜日、海都からLINEが入った。
 一週間後にキャンセルが入ったので、予約が取れたということ。

 そのレストランは三ツ星レストランであり、雑誌やSNSなどあまり載らないで一流となった。すべて人づてである。人脈も凄いのだろうか。
 
 アパートでまったりしていたあかりは、クローゼットを確認してみる。
 
 デートというデートはしていなかった。会社に通勤出来るような洋服ばかり。
「......モノトーンばかりじゃない」
 会社帰りでも、どこにも寄らず、ただ帰るばかり。匠の時だって、そんなお洒落しなかったし。
 11月だから、暖かみの洋服が欲しい。それでフレンチに行くから、ちょっとかしこまったような。
 あかりは少し考え、ウィンドウショッピングしようと思いついた。

 美容院は前日予約すればいいし。身支度を整えて、あかりはアパートから出ていく。

 ウィンドウショッピングなんて久し振りだ。お昼は何を食べようか、と、色々考えるのが楽しい。

 休日だけあり、カップルが多い。あかりはそんなのを気にせず、ブラブラしていた。 
 ブランドもののジュエリー店を見つけたあかりは、ウィンドウを覗いてみる。

 素敵なネックレスばかりね。このネックレス素敵と思ったら、高い! あかりは驚いた。一流店の品は違うわよね。憧れの溜め息と共に顔を上げると、海都が店内にいて、あかりを微笑ましそうに見ていた。
 
 えっ?! 坪平さん?! あかりは嬉しさと恥ずかしさの感情が混ざりながらも、頭を軽く下げた。
「ウィンドウショッピングですか?」
 海都が聞いてくる。
「はい。洋服を見ようと来たら、ついジュエリーに目が入って」
「そうでしたか。相手がいないようでしたら、ご一緒しても構いませんか?」
「もちろんです! あ、ですが、退屈しません? 洋服がメインなので」
「大丈夫ですよ。先ほど、洋服を見に来たと言ってましたから。橘さんのペースは崩しません」
 こんな人いるのだろうか、と、思えるくらいの紳士ぶり......。わたしと同じ年だし。あっ、そうだ。
「お互い同い年ですし、敬語はやめませんか?」
 あかりは提案してみた。

「そうでしたね。敬語はやめましょう。堅苦しい」

「仕事も堅苦しいですものね」
 あかりはそう言うと、海都はくすりとした。 

 それにしても、海都は映えるというか、ジュエリーの店員さんも憧れの的のように、チラチラ伺っている。
 
 素敵な人だなぁ、なんてあかりは思った。性格もそうだが、容姿端麗。パーフェクトな人。ご両親の育てかたがいいのかしら? あかりは首を傾げるほどだ。 

 あかりたちはデパートに入った。
 
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