影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
そして、縁側の先から、誠一郎さんがゆっくりと私のもとへ歩いてくる。

その姿に、胸が締めつけられる。夢のような、でも確かな歩みだった。

「梨沙。」

「は、はい!」

思わず背筋を伸ばしてしまう。けれど、その声はいつもより優しくて、どこか照れているようだった。

「俺の妻になって欲しい。」

その一言に、視界が一気に滲む。

ずっと、夢見ていた言葉だった。

でも、もう夢ではない。目の前で、誠一郎さんが私を見つめている。

「正式に、君に結婚を申し込む。」

涙が、ぽろぽろと零れ落ちる。

「お返事は?」

私は泣き笑いの顔で、答えた。

「……ああ、よろしくとでも言ってくれ。」

その冗談めいた言葉に、胸がきゅんとした。

私は堪らず、誠一郎さんの胸に飛び込んだ。

「申し受けます。」

「プロポーズ、成功だ。」

そっと私の頭を撫でながら、誠一郎さんが笑う。
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