影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「キス!キス!キス!」

使用人達が盛り上げる。

「おいおい!」

「西洋では、誓いのキスを結婚式でするんでしょ。」

「ええっ!」

私は恥ずかしさで驚いた。皆の前で接吻を!

誠一郎さんは、少しだけ照れたように咳払いをした。

「……しょうがないな。」

そう言って、私の頬に優しく手を添える。

見つめられるだけで、心臓が跳ねた。

私の顔がみるみるうちに熱くなっていく。

「梨沙。」

低く、でも甘く響く声。

私が瞳を閉じると、唇にそっと――温かな感触が触れた。

「おおおおーっ!!」

応接間の外では、使用人たちの歓声と拍手が沸き起こる。

「おめでとうございますっ!」

「ようやく、ですね!」

「ご主人様、奥様、末永くお幸せにー!」

赤面する私を、誠一郎さんは嬉しそうに見つめていた。

「……嬉しいな。俺の妻になってくれて、ありがとう。」
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