影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「……なんだ、これは?」

誠一郎さんが眉をひそめると、志乃さんは誇らしげに胸を張った。

「高麗人参の粉末です!」

「……っ!」

誠一郎さんの顔が引きつる。

私は思わず口元を押さえた。なんとなく、用途がわかってしまったから。

「若い奥様を――満足させるには、これしかないと!」

「し、志乃さんっ……!」

私は真っ赤になって俯くしかなかった。

「必要かな。」と、まさかの誠一郎さんが私の方を見て聞いてくる。

「必・要・です!」

志乃さんはきっぱりと言い切った。

「子を宿すには、男も女も“頂き”に行かないと。神様が授けてくださるのは、努力する夫婦だけです!

私はますます顔を伏せる。

誠一郎さんは苦笑しながら小袋を手に取り、「じゃあ、努力してみるか。」と冗談めかして私にウィンクをした。

――恥ずかしい。でも、嫌じゃない。

そう思える自分に、少し驚いていた。
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