影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「はは……旦那さん、愛が深いんですねぇ。」

「当然だ。……梨子に触れる奴は、誰であっても、許さない。」

「もうっ……恥ずかしいです。」

店の中で、私はどんどん頬が熱くなる。

それでも、心の中では少しだけ、誇らしかった。

こんなふうに、全力で守られていると感じる瞬間。

私は、確かに彼の“妻”なのだと、思わせてくれるから。

「もう! 恥ずかしかったです!」

仕立て屋を出た瞬間、私は誠一郎さんの袖を引いて抗議した。

彼はふんっと前を向いたまま、少し顎を上げて言う。

「どいつもこいつも、俺の梨子を見すぎだ。」

「いえ、気のせいです。たぶん着物のせいです。」

「違うな。俺の妻が美しすぎるからだ。」

そんなことを真顔で言うから、ますます恥ずかしくなる。

すると誠一郎さんは、すっと私の手を握った。

「梨子を……俺の中に隠したい。」
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