影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「えっ?」

「君は……俺がいないと、夢にうなされるらしい。」

まさか――聞かれていたの?

夜な夜な繰り返した、あの悪夢を。

「君を苦しめたくない。」

そう言う誠一郎さんの声が、あまりにも優しくて。

「誠一郎さん……」

「でもなぜか、俺が君を苦しめてる気がするんだ。」

どうしてそんなことを言うの?

その一言で、私の胸がつんと締めつけられた。

ぽろりと、涙が頬を伝った。

――この人、もしかして。

本当は、もう気づいている?

「だったら……」

私は震える手で、誠一郎さんの腕を掴んだ。

「だったら……抱いてください。」

「……病み上がりなのに?」

問いかける声に、私はうなずく。

「私……誠一郎さんに抱かれている時だけが、幸せなんです。」

その瞬間、誠一郎さんの手が静かにシャツのボタンを外した。

月明かりの中で、彼の輪郭が滲む。

「ハニー……」

掠れるような声で、そう呼ばれた時、私はもう――泣いていた。
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