影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
笑っていた。

その口元には勝ち誇ったような笑みが浮かんでいた。

惨めだった。

私は、やっぱり妾腹の娘。

正妻の座にも、母の資格にも――なれないの?

「ううっ……」

涙があふれ、私は膝をついた。

でもその時――

パシンッ――!

鋭い音が室内に響いた。

「な……っ」

梨子が頬を押さえる。

「――ふざけるな。」

誠一郎さんだった。

彼の目は、これまで見たことがないほどに冷たく、鋭かった。

「君には、人間の情ってものがないのか!」

誠一郎さんの怒りは、いつになく激しかった。

その鋭い瞳が梨子を真っすぐに射抜く。

「妹だろ。しかも双子の!」

「双子だからよ!」

梨子の声がわずかに震えながらも、激情をあらわにする。

「だから、許せないのよ!」

「なに?」

「私と同じ顔で、私より愛されるなんて……そんなの、あの子は許されちゃいけないのよ!」
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